012:飛車角将棋

飛車角将棋

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これまでの講座では、馬・龍の2枚の大駒を最大限に活かせば上手玉を寄せ切れるということを説明してきました。
しかし将棋では本来、駒は成っていない状態から始まります。
「馬」「龍」をそれぞれ「角」「飛車」に戻した「飛車角将棋」に挑戦しましょう。

手合割:その他 
上手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
下手の持駒:なし
上手番

△6五玉    ▲2六飛    △6四玉    ▲5六飛    △6五玉    ▲8六飛
△7五玉    ▲2六飛    △6五玉    ▲6六角    △7六玉    ▲8四角
△6七玉

変化:2手
▲3三角成  △5六玉    ▲2三飛成  △4六玉    ▲2五龍    △5六玉
▲5五馬

「バリア」が使えない

初手からの指し手
△6五玉    ▲2六飛    △6四玉    ▲5六飛(1図)

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まずは飛車を活用してみます。
これで玉の行動を制限する狙いですが…

1図からの指し手
△6五玉(2図)

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逆に近づかれてしまいました。
「龍」ではなく「飛車」なので、斜めの4マスに隙があります。

2図からの指し手
▲8六飛    △7五玉    ▲2六飛(3図)

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このままでは△5六玉で飛車を取られてしまうので、▲8六飛と逃げます。
しかし△7五玉がまたも飛車取りです。
▲2六飛と思いっきり遠くへ逃げて、なんとか難を逃れました。
龍に成っていない飛車では「バリア」の役割を果たせません。

「体当たり」も使えない

3図からの指し手
△6五玉    ▲6六角(4図)

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飛車がダメならばと、角を使うのもいまいちです。
▲6六角としても王手になっていません。

4図からの指し手
△7六玉(5図)

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横に回り込まれてしまいました。
角が飛車の利きを遮っています。
角が馬に成っていたなら、上手は△5四玉、△6四玉、△7四玉のいずれかで後退するしかなかったところです。
「体当たり」も、接近戦に弱い飛車・角のままでは機能しません。

5図からの指し手
▲8四角    △6七玉(6図)

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飛車から見て左上にいた玉が、左下に抜けてしまいました。
こんな調子では、いつまでたっても玉を寄せ切ることはできないでしょう。
どうすれば良いのでしょうか。

まず「大駒を成る」を目標に

初手からの指し手
▲3三角成  △5六玉    ▲2三飛成(7図)

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玉を狙う前に角、飛車をそれぞれ成りましょう。
いっとき玉を自由にさせてしまいますが、そもそも取られる駒も無いので急ぐ必要はありません。

7図からの指し手
△4六玉    ▲2五龍    △5六玉    ▲5五馬(8図)

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駒を成った後で、改めて寄せに向かいます。
成る前と比べて「バリア」も「体当たり」も、はるかに強力になっています。
「駒を成って戦力アップ」→「強力な成駒を使って玉を攻める」
この流れが将棋の基本的な考え方です。
「成ること」「寄せること」をそれぞれ別個に考えるのではなく、「寄せるために成る」という目的意識を常に忘れないでください。