十枚落ち・九枚落ち 上達過程その4
前回、初の九枚落ち局に負けてから2週間後。
2局連続で負けると気持ちのうえでもつらいので、一度準備運動のつもりで十枚落ちを行なうことにした。
これが6戦目となる。
開始日時:2018/01/21 15:41:37
終了日時:2018/01/21 15:47:45
手合割:十枚落ち△4二玉 ▲7六歩 △5四歩 ▲6六角 △6四歩 ▲9三角成
△5三玉 ▲8三馬 △6三玉 ▲2六歩 △5五歩 ▲2五歩
△4四歩 ▲7七桂 △7四歩 ▲8五桂 △3四歩 ▲7三桂成(1図)
△5四玉 ▲4六歩 △4五歩 ▲7二馬 △6五玉 ▲4五歩
△7六玉 ▲7八銀 △6五玉 ▲7七銀(2図)
△7五玉 ▲7六歩
△8五玉 ▲8六歩 △8四玉 ▲8三成桂 △9四玉 ▲9六歩
△5六歩 ▲9五歩
まで38手で下手の勝ち
『2対1』を構成する駒は「龍・馬」の組み合わせに限らない。
条件さえ満たせば、成桂でも攻め駒としての働きは可能だ。
「龍・馬」での寄せに十分慣れたら、こうした応用を試してみるのも良いだろう。
銀の力で入玉を阻止。
この後も小駒による確実な寄せで、まったく危なげなく勝利。
やはり十枚落ちは完璧だった。
というわけで7戦目は九枚落ち。
終了日時:2018/01/21 15:59:00
手合割:その他
上手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・v玉v金 ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
下手の持駒:なし
上手番△3二金 ▲7六歩 △4二玉 ▲5五角(3図)
△5四歩 ▲7三角成
△5三玉 ▲2六歩 △3四歩 ▲3六歩 △4四歩 ▲3八銀
△4五歩 ▲2七銀 △1四歩 ▲1六歩 △3三金 ▲2五歩
△9四歩 ▲2六銀 △4四金(4図)
▲1五歩 △同 歩 ▲同 香
△5五歩 ▲1三香成 △6四歩 ▲2三成香 △5四玉 ▲6六歩
△4六歩 ▲7二馬 △5三玉 ▲4六歩 △5六歩 ▲同 歩
△5五歩(5図)
▲4五歩 △5四金 ▲3七桂 △5六歩 ▲3三成香
△6五歩 ▲同 歩 △5七歩成(6図)
▲5五歩(7図)
△同 金 ▲3五歩
△4六歩 ▲3四歩 △4七歩成 ▲2四歩 △6五金 ▲2三歩成
△4八歩(8図)
▲3二成香 △4九歩成 ▲同 玉 △4八金 ▲同 飛
△同と直
まで61手で上手の勝ち
上手が△5四歩を突かなかった場合はここに角を出られる。
次に▲7三角成と、▲6六角~▲9三角成よりも上手玉に近い位置に成り込めるので、攻めが速くなる。
下手は棒銀を繰り出し、2筋攻めの準備を完了した。
『3枚目の攻め駒を作る』という前回の教訓をしっかり押さえており、大変よろしい。
しかし上手にはその準備を無に帰す返し技があった。
△4四金がそれだ。
「2筋突破」を狙う下手に対して「2筋を一切守らない」という上手の対抗策である。
2四の地点を「金・歩」の2枚で守っているところを「飛・銀・歩」の3枚で攻められたら、結局は突破されてしまう。
だったら金を守りから外して「歩」の1枚にしても結果は同じ。
2筋を攻めさせる間に金を別方面で活用しよう、という理屈である。
いわゆる「焦土戦術」だ。
前回あれだけ『3枚目の攻め駒を作る』ことを強調しておいて、はしごを外すような手段を取るのは不義理な気がしないでもないが、わざと手を抜くのは私の信条に反する。
4図では▲3七銀と引いて飛車先を軽くするのが最善手だと思う。
2四を守っていた金が離れたのに呼応して「飛・銀・歩」の3枚から「飛・歩」の2枚による攻めに変化することで、駒効率を回復する手法である。
しかし、そんな手を指せる人はもはや九枚落ちの手合いではないだろう。
下手が端から成香を作っている間に、上手は中央からバシバシ畳み掛ける。
過去の記事で紹介した将棋と似た展開だ。
△4六歩~△5六歩~△5五歩の攻めは、見る人が見れば大したことのないものとわかるが、九枚落ちの下手にとってはいつ終わるかわからない恐怖の連続攻撃に映ることだろう。
5図では▲5八飛△5六歩▲同飛△5五歩▲5八飛(A図)と対応すべきだった。
こうなればと金作りを防げたうえ、上手は歩切れで、下手陣に対してこれ以上手出しができない。
以下、下手は▲3七桂~▲4五歩、▲7八金~▲6七金~▲5六歩△同歩▲同金などとじっくり攻めれば良い。
5図からの対応がまずく、と金を作られてしまった。
下手にとって想定外の展開が長く続くほど、こうした判断の誤りも起こりやすくなる。
7図
下手の駒が上手玉を包囲しているように見えるが、よく見ると『2対1』を作れるマス目が1つもない。
歩以外の持ち駒も無いため、上手玉を寄せ切るための「もうひと押し」が繰り出せない状況なのだ。
▲5五歩に代えて▲1八飛△6五金▲1三飛成(B図)が一番ましな迫り方と思うが、これでも上手玉が5~6筋方面に広く、寄せ切るのは至難の業だろう。
▲3五歩~▲3四歩、▲2四歩~▲2三歩成と駒を進めてはいるものの、『2対1』の形を作れない問題は解決されていない。
上手玉のいない場所を攻めている、つまり『攻め駒を玉に近づけ』ていないので効果が上がらないのだ。
最後は上手のと金爆弾が炸裂して簡単な詰み。
十枚落ちと九枚落ちの差は金が1枚増えただけに過ぎないが、難易度の変化は見た目の変化よりもはるかに大きい。
十枚落ちの卒業してから九枚落ち初勝利を挙げるまでには、習得すべき技術、越えなければならない関門がいくつも存在する。
連敗してしまうのは必然とも言える。
ただ上手から見れば、連敗しながらも一つずつ新しい技術を習得していっていることがわかるので、不貞腐れず地道に学んでいって欲しく思う。
この辺りの教え方は、私にとってもまだまだ手探りである。