002:馬龍将棋の指し方 3つの方針
3つの方針
馬龍将棋を攻略するのに必要なコツは、つぎの「3つの方針」で表現することができます。
- 「攻め駒を玉に近づける」
- 「すべての駒を使う」
- 「玉を端へ追い詰める」
この3つの方針に沿って指し手を決めていけば、上手玉を詰まして勝つことができるはずです。
↓の実戦例を詳しく見ていきましょう。
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 馬 ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・|八
| ・ 馬 ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
後手番△6四玉 ▲6六馬 △5四玉 ▲5六馬上 △4三玉 ▲2三龍
△5二玉 ▲4九龍 △6二玉 ▲4二龍 △7一玉 ▲8三馬
△8一玉 ▲9三馬上 △9一玉 ▲2一龍
まで16手で先手の勝ち
攻め駒を玉に近づける
初手からの指し手
△6四玉(1図)
上手の第1手目は△6四玉でした。
これから下手はどうやって攻めていけば良いでしょうか?
1図からの指し手
▲6六馬(2図)
「攻め」の最終目標はもちろん「玉を取ること」ですね。
しかし当たり前ですがいきなり玉を取ることは不可能です。
準備として攻め駒を玉に近づけることから始めましょう。
1図から、下手は8八の馬を6六に動かしました。
方針その1「攻め駒を玉に近づける」です。
▲6六馬に代えて▲5五馬(参考1図)とすれば、もっと玉に近づいているように見えます。
しかしこれは近づきすぎです。
玉自身の動けるマス目(利き)に入ってしまったため、△5五同玉と馬を取られてしまいます。
近づけるといっても、うかつに近づきすぎてはいけません。
駒を近づけるときは「玉の1マス隣」ではなく「2マス隣」を狙うようにしましょう。
すべての駒を使う
2図からの指し手
△5四玉 ▲5六馬上(3図)
上手の指し手は△5四玉でした。
これに対して▲5五馬や▲6五馬はもちろん△同玉で失敗です。
6六の馬は単独ではこれ以上近づくことができません。
そこで8九の馬を▲5六馬上と活用します。
方針その2「全ての駒を使う」です。
3図からの指し手
△4三玉 ▲2三龍 △5二玉(4図)
同様に2八龍も玉に近づけました。
さて4図では2九の龍を使いたいのですが、2三の龍が邪魔で▲2二龍と指すことはできません。
どうすればいいでしょうか?
4図からの指し手
▲4九龍 △6二玉 ▲4二龍(5図)
落ち着いて考えましょう。
縦に動かすことができないなら、横へ動かせばいいのです。
▲4九龍~▲4二龍として、ほかの駒に邪魔されることなく玉へ近づくことができました。
玉を端へ追い詰める
5図からの指し手
△7一玉 ▲8三馬 △8一玉 ▲9三馬上(6図)
上手は△7一玉と逃げました。
ここで改めて盤面を見渡してみましょう。
いつの間にか2枚の馬がずいぶん玉から離れてしまっていますね。
龍を動かしている間に、上手玉が5四から7一まで移動したためです。
2枚の馬をもう一度玉に近づけましょう。
6図からの指し手
△9一玉 ▲2一龍(7図)まで下手の勝ち
上手玉の周りを大駒が完全に取り囲んでいます。
仮に上手が6図から△7二玉・△8二玉・△9二玉のどれかの手を指した場合、下手は▲同龍または▲同馬と玉を取ることができます。
△7一玉にも、9三の馬を使って▲同馬とすれば、やはり取ることができます。
したがって上手玉は△9一玉と盤の隅へ逃げ込むしかありませんでした。
これに対し▲2一龍と王手をかけた局面が7図です。
上手玉はこれ以上逃げるマス目がありません。
つまり7図で上手玉は「詰み」です。
下手の勝ちとなりました。
将棋において玉が盤の端や隅にいる状態とは、逃げられるマス目が少ない危険な状態であると考えることができます。
そのため玉を盤の端や隅まで追い詰めることができれば、それだけ「詰ましやすい」状況を作ることができます。
方針その3「玉を端へ追い詰める」です。
「方針」があれば変化されても対応できる
上手玉は毎回同じ逃げ方をすると決まっているわけではありません。
違う逃げ方に対しては、下手も異なる攻め方を考えていく必要があります。
しかしどんな逃げ方をされたとしても、下手が3つの方針に沿った指し方をできていれば、多少もたついたとしても詰みまでたどりつけるはずです。
くりかえし練習して、しっかり身につけてください。