011:馬龍将棋の裏ワザ

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馬龍将棋では上手の駒が1枚しか存在しません。
同じ状況が平手の将棋で発生することは、まずありえないと言って良いでしょう。
この特殊な状況を下手が「悪用」すると、裏ワザのような勝ち方ができてしまいます。

手合割:その他 
上手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 馬 ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
下手の持駒:なし
上手番

△6五玉    ▲2六龍    △5四玉    ▲3五龍    △6四玉    ▲4五龍
△5三玉    ▲3四龍    △5二玉    ▲3三龍    △6二玉    ▲4三龍
△7二玉    ▲5三龍    △6一玉    ▲4二龍    △7一玉    ▲5二龍
△8一玉    ▲6二龍    △9一玉    ▲7二龍
まで22手で下手の勝ち

バリアのみで勝つ

初手からの指し手
△6五玉    ▲2六龍    △5四玉    ▲3五龍(1図)

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まずは基本通りバリアを張ります。

1図からの指し手
△6四玉    ▲4五龍(2図)

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玉が1マス動いたら、龍を同じ方向へ1マス動かします。
これだけです。

2図からの指し手
△5三玉    ▲3四龍(3図)

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もし玉が一段後退すれば、下手も労せずしてバリアを前進させることができます。

上手は「パス」ができない

3図からの指し手
△5二玉    ▲3三龍(4図)

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上手には「玉を動かさない」という選択肢がありません。
ほかに動かせる駒がないからです。

4図からの指し手
△6二玉    ▲4三龍    △7二玉    ▲5三龍(5図)

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上手ができる限りバリアを食い止めようとするなら、 玉を真横に動かすしかありません。
それも続けていれば盤の端まで追い詰められてしまうことに変わりはありません。

5図からの指し手
△6一玉    ▲4二龍(6図)

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玉を盤の端まで追い詰めたあとは、1マスずつ追っていくだけです。

6図からの指し手
△7一玉    ▲5二龍    △8一玉    ▲6二龍    △9一玉    ▲7二龍(7図)

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この局面自体は王手がかかっているわけではないのですが、上手は自分の手番で必ず玉を動かす必要があります。
するとどうしても玉が龍の利きに入ってしまいます。
次の手番で必ず玉を取ることができるので、7図までで下手勝ちとなります。

他に駒があればOK

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この裏ワザを防ぐためには、上手に1一歩を追加します。

手合割:その他 
上手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 馬 ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
下手の持駒:なし
上手番

△6五玉    ▲2六龍    △5四玉    ▲3五龍    △1二歩    ▲4六龍
△1三歩    ▲3五龍    △1四歩    ▲4六龍    △1五歩    ▲5五馬
△6三玉    ▲4四龍
まで14手で中断

参考1図からの指し手
△6五玉    ▲2六龍    △5四玉    ▲3五龍(参考2図)

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下手は同じようにバリアを張りますが…

参考2図からの指し手
△1二歩(参考3図)

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上手は歩を動かすことで「パス」ができます。
つまり玉を動かすことなく、手番を消費できるのです。

参考3図からの指し手
▲4六龍    △1三歩    ▲3五龍    △1四歩    ▲4六龍    △1五歩(参考4図)

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下手が龍だけを動かしていても、上手玉は都合よく動いてはくれません。
上手は王手されない限り、歩を進めてパスし続ければ良いでしょう。

参考4図からの指し手
▲5五馬    △6三玉    ▲4四龍(参考5図)

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やはり攻めには龍と馬の協力が必要です。
馬の体当たりで玉を移動させれば、バリアを進めることができます。

裏ワザでは意味がない

そもそも何のために馬龍将棋を指しているのかといえば、上達して、最終的に平手将棋を指せるようになるためです。
平手では先手後手ともに20枚ずつ駒があるうえ、戦いが起こってからは何かしらの持ち駒を持っていまる局面がほとんどです。
相手が「玉1枚」という特殊な条件を利用して勝ったとしても、それは平手に応用できない勝ち方です。
裏ワザではなく、上達のためになる勝ち方を身につけましょう。