十枚落ち検討 3連戦1局目

今回から3つの記事にわたって、同じ相手と3連戦で行なった指導対局棋譜を分析する。
3局とも十枚落ちである。

勝つための方針

(1)『攻め駒を玉に近づける』
(2)『2対1で攻める』
(3)『玉を端に追い詰める』

負けないための方針

(4)『歩がぶつかったら取る』
(5)『金銀で守る』

開始日時:2017/05/21 14:38:44
手合割:十枚落ち
下手:下手
上手:上手

△4二玉    ▲7六歩    △5四歩    ▲2六歩    △6四歩    ▲2五歩
△3二玉    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △2三歩(1図)
▲2五飛
△1四歩    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △2三歩    ▲2八飛
△7四歩    ▲5八飛    △8四歩    ▲5六歩    △2四歩    ▲5五歩
△同 歩    ▲同 飛    △4二玉    ▲5四飛    △5三歩    ▲6四飛
△4四歩    ▲6二飛成  △4三玉(2図)
▲3六歩    △2五歩    ▲3七桂
△2六歩    ▲2五桂    △2七歩成(3図)
▲3三桂成  △同 玉    ▲3五歩
△4三玉    ▲3四歩    △3七と    ▲3三歩成  △同 玉    ▲5五角
△4三玉    ▲7三角成  △4七と    ▲7七桂    △5七と    ▲6五桂
△4七桂
まで55手で上手の勝ち

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(1)に沿って飛車を活用した局面。
本譜は▲2五飛だったが▲5四飛と横歩を取ることができた。
以下△5二玉▲6四飛(A図)で△5二玉なら▲3三角成、他の手なら飛成がある。

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このあともう一度▲2四歩△同歩▲同飛~▲2八飛としているが、これも▲5四飛や▲1四飛とするのが良かった。

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少し回り道はしたものの、なんとか飛車の成り込みに成功。
目標を一つ達成した直後のため、次に何をすべきか少し迷う局面だ。
本譜は▲3六歩~▲3七桂、これは方針(1)に沿う攻め方ではあるものの、後の展開を考えるとあまり得策ではない。
詳しくは後述する。

一番わかりやすい勝ち方を求めるなら、やはり大駒である角を活用するべきで、例えば▲6六角~▲8四角~▲7三角成、または▲9六歩~▲9七角(B図)とし次に▲5三角成を狙う構想が最善だっただろう。

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と金作りを許すと上手の攻撃力が増す。
前手▲2五桂では(5)に沿って▲3八金や▲3八銀とするのが良かった。

3図から▲3三桂成と突っ込んでしまったのは、(2)に反しており明らかに悪手。
代えて▲2二龍(C図)と1手溜め、3三を『2対1』で攻める形を作るのが正しかった。

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ただしC図となっても、ここから▲3三龍~▲4四龍と攻めると上手玉は△5四玉~△6三玉のルートで逃げていくと予想される。
これは(3)『玉を端に追い詰める』を満たしているとはいいがたい展開なので、勝つまでにはまだまだ手数がかかるだろう。

2図に戻って考えなおすと、龍が6筋、上手玉が4筋にいるのだから、このまま玉を3筋→2筋→1筋へと追っていくのが最も効率の良い攻め方だったと言える。
具体的にはB図のような手段であり、これなら(3)を満たしている。
▲3六歩~▲3七桂が得策ではないと書いた理由である。

こうした理由から▲3七桂~▲2五桂の2手を(3)×の評価とする。 

以下は渡した桂馬を使われて下手負け。

▲7六歩 (1)○
▲2六歩 (1)○
▲2五歩 (1)○
▲2四歩 (1)○ (2)○
▲同 飛 (1)○
▲2五飛 (1)×
▲2四歩 (1)○ (2)○
▲同 飛 (1)○
▲2八飛 (1)×
▲5八飛 (1)○
▲5六歩 (1)○
▲5五歩 (1)○ (2)○
▲同 飛 (1)○
▲5四飛 (1)○
▲6四飛 (1)○
▲6二飛成 (1)○
▲3六歩 (1)○ (2)×
▲3七桂 (1)○ (3)×
▲2五桂 (1)○ (3)× (5)×
▲3三桂成 (2)×
▲3五歩 (1)○
▲3四歩 (2)×
▲3三歩成 (2)×
▲5五角 (1)○ (2)× (5)×
▲7三角成 (1)× (5)×
▲7七桂 (1)× (5)×
▲6五桂 (1)○ (2)○ (5)× 

次回に続く。