六枚落ち理論 草案

十枚落ち = 最初から寄せ
八枚落ち = 金の守りをはがしてから寄せ
六枚落ち = 金銀の守りを「2回」突破してから寄せ


六枚落ちの上手陣には、囲いが「2つ」存在する。
・「本陣」
・「厚み」
(「本陣」「厚み」は、筆者による便宜上の命名である)

「本陣」= 下手の飛車角の侵入を阻止する役割の金銀。
「厚み」= 本陣とは離れた位置取りで、中段まで進出して下手陣を攻める・牽制する役割の金銀。

上手玉は「本陣」「厚み」のどちらかに近づいて、これを守備駒(=囲い)とする。
片方の囲いが突破されると、残ったほうの囲いに逃げ込んで2回目の粘りを始める。
よって下手が六枚落ちを勝利するためには、2つの囲いを両方突破することが求められる。

「本陣」「厚み」は金銀2枚ずつの配分で構成される場合が多い。
ただし3-1の配分や、「本陣」と「厚み」が近めの配置で4枚くっついているように見える場合も珍しくない。

 

「本陣」「厚み」は、どちらから先に攻略してもよい。

・「本陣」から攻略
 →(A)「厚み」を築かれる前に攻め切る(超急戦)
 →(B)「本陣」を突破した後に「厚み」を攻略する(急戦)
・「厚み」から攻略
 →(C)「厚み」を押し返した後に「本陣」を攻略する(持久戦)

伝統的な駒落ち定跡は(A)の考え方で作られているため、「厚み」との戦い方(=接近戦の技術)を学びづらいことが難点だった。
このブログでは(B)(C)の考え方を推奨する。

 

十枚落ち = 玉との戦い
八枚落ち = 金との戦い
六枚落ち = 金銀との戦い

金銀は2枚以上で連携すると、1枚の時とは比べ物にならないほどの力を発揮する。
八枚落ちでは、下手の大駒の成り込みを防ぐために、上手の金は陣の左右に分散して1枚ずつ配置されることが多かった。
しかし六枚落ちでは守り駒の枚数が足りているので、上手は金銀2枚以上を連携させる余裕がある。
よって連携した金銀による本格的な接近戦を体験するのは、下手にとって六枚落ちがはじめてとなる。

将棋の中で、金銀は接近戦において最強の駒である。
上手の金銀に対抗するには、下手も金銀を使わなければならない。

金銀による接近戦のコツをいくつか挙げておく。

・同数以上で対抗する。
・上、斜め上から押すように戦う。
・できるだけ高い位置で戦う(上手に成駒を作られる変化があると一気に難しくなる)。
・と金など、金銀より安い駒を使えれば楽になる。
・龍・馬の睨み、圧力を活用する(ただし両取りなどの反撃に注意)。
・ゆっくりした指し回しで間に合うように、自陣は安全に保っておく。

接近戦はとても難しい分野(アマチュア有段者レベルではまだ理解の及ばないことだらけ)なので、上記のコツがすべてではないが、六枚落ち卒業に必要な指針としては有用かと思う。

 


六枚落ちの流れ

・駒組み

・第一次攻勢(「本陣」「厚み」のどちらか)

・第二次攻勢(もう片方)

・寄せ

攻めを二段階に分けることで進行状況が把握しやすくなる。
自分が今どの段階にいるのか把握して、次に何をすべきか目標を見失わないようにする。

 


最低限、3手詰が解ける程度の詰将棋力・読みの力が必要。
5手詰が解けるならば十分以上。