九枚落ち 理想的な展開

十枚落ちのひとつ上の手合は八枚落ちとなるのが普通だ。
しかし私は、十枚落ちから直接八枚落ちへ移行したのでは難易度上昇が大きすぎると考えているので、十枚落ちの次は九枚落ちを教えることにしている。
九枚落ちは左金残しと右金残しの2種類の配置が考えられるが、どちらも難易度は大差ないので、このブログではすべて左金残しに統一する。

手合割:その他 
上手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・v玉v金 ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
下手の持駒:なし
上手番

△3二金    ▲2六歩    △4二玉    ▲2五歩    △2二金    ▲2六飛
△3四歩    ▲7六飛    △4四歩    ▲7三飛成  △4三玉    ▲7六歩
△3五歩    ▲6三龍    △3三金    ▲5五角    △1四歩    ▲7三角成(1図)
△1五歩    ▲5一馬    △3四玉    ▲5三龍(2図)
△4三金(3図)
▲5五龍
△2五玉    ▲2八銀    △8四歩    ▲2七銀(4図)
△3四金    ▲5三龍
△2四金    ▲4四龍    △9四歩    ▲2六歩    △1四玉    ▲3六歩(5図)
△同 歩    ▲同 銀    △1三玉    ▲2五銀(6図)
△同 金    ▲同 歩
△8五歩    ▲1四金(7図)
△2二玉    ▲4二龍    △3二歩    ▲4一馬
△2一銀    ▲3一馬    △1二玉    ▲1三金    △1一玉(8図)
▲2三金
△2八歩    ▲3二金    △同 銀    ▲同 龍    △2九歩成  ▲2二龍
まで60手で下手の勝ち

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『棋理』とは何か

『棋理』という言葉がある。
漢字から意味を解読すれば、

「棋」=「将棋」
「理」=「原理・法則」

すなわち「将棋の原理・法則」を意味する熟語だとわかる。
とはいえこれだけの説明で理解しろというのは流石に無理があるので、別の物に例えることで説明してみたい。

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十枚落ち 大人の初心者

今回はいつもとは違う十枚落ちの指し方を解説する。
なにも龍・馬の2枚を使って寄せ切るばかりが十枚落ちではないのである。

勝つための方針

(1)『攻め駒を玉に近づける』
(2)『2対1で攻める』
(3)『玉を端に追い詰める』

負けないための方針

(4)『歩がぶつかったら取る』
(5)『金銀で守る』

手合割:十枚落ち

△4一玉    ▲7六歩    △4二玉    ▲6六角    △5四歩    ▲2六歩
△3二玉    ▲3八銀    △6四歩    ▲9三角成  △4四歩    ▲2五歩
△5五歩    ▲4八金    △3四歩    ▲2七銀    △3三玉    ▲3六歩
△1四歩    ▲2六銀    △7四歩    ▲3八飛(1図)
△4三玉    ▲7一馬
△8四歩    ▲6八銀    △8五歩    ▲6六歩    △3三玉    ▲6一馬
△4五歩    ▲3五歩    △同 歩    ▲同 銀(2図)
△8六歩    ▲同 歩
△8八歩(3図)
▲7九金    △8九歩成  ▲同 金    △4二玉    ▲4四銀
△5一桂(4図)
▲3三飛成  △4一玉    ▲3二歩    △5六歩    ▲3一歩成(5図)

まで48手で下手の勝ち

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十枚落ち 上手の粘り

前回の記事で、入門書『中原の将棋を始める人のために』に載っている棋譜に対して「上手が最善の粘りをしていない」と書いた。
解説の誤りを指摘するための論拠として用いながら「最善の粘り」を示さないのは不誠実なので、今回は十枚落ちにおける「上手の粘り方」を解説する。

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「駒落ち定跡」の説明には注意が必要

今回は少し視点を変えて記事を書いてみたい。

このブログでは、いわゆる「駒落ち定跡」を使わずに、駒落ちを解説することを目標としている。
駒落ち定跡」は、初心者が学びの題材とするぶんには大変有益であるが、教える側が「駒落ち定跡」に頼りきりになると危険な面があるのだ。
今回は「駒落ち定跡」を使って解説を行なう場合に陥ってしまいがちな「悪い解説」を見ていく。
若干悪趣味のような気がしないでもないが、私の将棋観を述べるための前置きとして必要なことなので、ご容赦いただきたい。

手合割:十枚落ち

△4二玉    ▲7六歩    △5四歩(1図)
▲2六歩    △6四歩    ▲2五歩
△3二玉(2図)
▲2六飛    △7四歩    ▲3六飛    △4二玉    ▲3三角成
△5二玉    ▲4六飛    △6二玉    ▲4三飛成  △7二玉    ▲5一馬
△8一玉    ▲8三龍    △7一玉    ▲7三馬    △6一玉    ▲7二龍
まで24手で下手の勝ち

今回の棋譜は1995年に出版された入門書『中原の将棋を始める人のために』から引用した。
書籍中で「定跡」と明言されているわけではないが、これは最も有名な十枚落ち定跡の手順そのものである。

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