八枚落ち 上達過程その7

10戦目は初の八枚落ち局となる。
金2枚の守備は九枚落ちとは段違いの強固さを誇るが、果たしてM・H君はこれを攻略できるだろうか。

開始日時:2018/03/18 16:37:21
終了日時:2018/03/18 16:41:47
手合割:八枚落ち

△3二金    ▲7六歩    △7二金    ▲7五歩    △6二玉    ▲7八銀
△6四歩    ▲7七銀    △4四歩    ▲8六銀    △4三金(1図)
▲5六歩
△5四歩    ▲7九角(2図)
△6五歩    ▲1三角成  △5三玉    ▲2三馬
△5五歩    ▲同 歩    △6四玉    ▲3二馬    △5三金    ▲5八飛(3図)
△6三金上  ▲4八銀    △7四歩    ▲同 歩    △同 金    ▲5四歩(4図)
△6三金    ▲4二馬(5図)
△7三玉    ▲5三歩成(6図)
△6四金寄  ▲6三と
△同 金    ▲5二飛成  △2八歩    ▲7五銀(7図)
△6二金    ▲6四馬(8図)
△7二玉    ▲7三金    △7一玉    ▲6二龍    △8一玉    ▲8二金
まで48手で下手の勝ち

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下手が7筋からの動きを見せているので、そちら方面へ援軍を送る△4三金は妥当な所。
しかし、ここでM・H君の目が光った。

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▲5六歩~▲7九角で技あり。
次の▲1三角成が受からない。
△4三金と上がって△2二金の受けが利かなくなった瞬間を見逃さなかった。

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上手もうかうかしていられない。
なんとか紛れを求めるべく、△5五歩から持ち歩を入手しようと動くが、下手は▲5八飛と紐をつけてそれを阻止。
3図の時点で5四の利きは『馬・飛・歩』対『玉・金』と『3対2』の関係になっているので、次に▲5四歩からの攻めがある。

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▲4八銀と上がったため2八に隙が生じたが、上手には持ち駒が無いので△2八歩などの手でこの隙を咎めることができない。
△7四歩▲同歩△同金で一歩を入手したものの、下手は5四の守り駒が減った瞬間を逃さず▲5四歩を決行する。

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▲5四歩を△同金は▲同飛で下手が金の丸得となる。
よって△6三金とよろけるが、ここで▲4二馬が抜け目ない一手。
王手の先手で5三に利きを足しており、次に▲5三歩成と攻め込める。

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下手の攻めが完全に決まった。
このと金の破壊力をしかと目に刻んで欲しい。

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やっと上手は△2八歩と打つ手番を得たが、下手の攻め駒がここまで上手玉に迫っている状況では明らかに手遅れである。
▲7五銀が上手の希望を打ち砕く好手。
△8四玉~△9四歩~△9三玉、△5三歩~△6四玉~△5四玉などの逃走路を完全封鎖し、上手の粘りを許さない。

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7図は次に▲7二金までの詰めろなので、△6二金とそれを受ける。
この手は龍当たりだが、対する▲6四馬が強い切り返しだ。
龍当たりよりも王手のほうが優先順位が高いので、上手は△5二金と龍を取る暇がない。
この時点でM・H君は即詰みを読み切っていて、龍を逃げずとも踏み込んで勝てると確信していたのだろう。

9局目から1ヶ月後。
なんと八枚落ちは一発でクリアとなった。
勝ち方も完璧で、なにひとつ修正すべき手が無い。

対局前はM・H君と言えども苦戦するだろうと心配していたが、とんでもなかった。
この一局にかかった時間は5分未満。
ほとんどノータイムの着手で、これだけ正確に、ほぼ最短距離で攻め倒してしまったのだ。
彼は私の予想をはるかに上回る速さで上達している。
特に4図以降の攻めを全てノータイムで実行できるのは、もはや完全に八枚落ちの手合いを通り越している証拠である。

上手としては3図から△7四歩▲同歩△同金と動かず、△8四歩などの手でじっとしているほうが粘れたかもしれない。
しかし例えば▲4八銀~▲3八金~▲4六歩~▲4七銀~▲5六銀(A図)~▲6五銀などの手でゆっくり押して来られると、どっちみち上手は手も足も出ないままやられてしまう。

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あるいは▲7七桂と跳ねるだけでも次に▲6五馬の詰めろになるので、上手が相当に勝てない展開だ。

順当に行けば次は七枚落ちとなる所だが、本局の手応えから七枚落ちも一発クリアされてしまう可能性が高いと判断。
一段飛ばして、11局目は六枚落ちで行なうことにした。