八枚落ち 方針 001:概要~前提条件

このブログでは、十枚落ちにおける『3つの方針』を提唱してきた。
初心者が十枚落ちを勝てるようになるために必要な考え方を、最小限の形で示すものである。

  • 『飛車と角を成る』
  • 『攻め駒を玉に近づける』
  • 『2対1で攻める』

これと同じように、八枚落ちにおける指し方の方針も簡潔に表現できないかとずっと考えていた。
ようやく自分なりに納得のいく理論がまとまってきたので、ブログ更新を再開しようと思う。

前提条件

  • 十枚落ちを卒業していること
  • 1手詰めを1分以内に解けること

八枚落ちの方針

  • 『3対2で攻める』
  • 『金より安い駒で攻める』
  • 『玉より先に金を狙う』
  • 『成小駒は斜め上から押さえるように使う』

八枚落ち卒業へ向けての上達指針

  • 詰め将棋力を鍛えあげる。
  • 4つの『方針』の精度を高め、効率良く、素早く寄せ切る。
  • 上手の指し手をよく観察し、臨機応変に対処する。
  • 計画的な駒組みで安全勝ちする。

順に説明する。

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前提条件
・十枚落ちを卒業していること

当然だが、十枚落ちもままならない人が八枚落ちに挑んでも勝てるはずがない。
先に十枚落ちの勝ち方をしっかり身につけてから再挑戦しよう。

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これから説明する理論では「十枚落ち状態」という言葉を用いる。
八枚落ちは、十枚落ちの上手に金2枚を追加したものなので、金2枚を取ってしまえば後は十枚落ちと同じ指し方(=『3つの方針』)で勝ち切れる。
「十枚落ち状態」になれば最終目標である「詰み」まで辿りつくのは容易い。
よって八枚落ちにおける勝利の中間目標として「金2枚を取る」を強く意識することが重要なのである。

・1手詰めを1分以内に解けること

ここで言う1手詰めとは、詰め将棋パラダイスに載るような趣向を凝らした1手詰めを含まない、ごく普通の初心者向け練習題材としての1手詰めを指す。
1手詰めを解くためには、以下のような能力が必要である。

  • 駒の動きを完全に覚えており、迷うことが無い。
  • 「王手」と「王手でない状態」が区別できる。
  • 駒の利きを1マスずつ丁寧に確認できる。
  • 駒の利きが2枚以上重なっているマス目を認識できる。
  • 王手候補手、玉方の応手を1つずつ漏れなく確認できる。
  • 「1:▲王手 → 2:△応手 → 3:▲取れるor取れない」の3手先の局面まで認識して、詰みかどうかを判断できる。
  • 以上をそれなりの正確さと速度で実行できる。

たかが1手詰めと侮るなかれ。
なかなか奥深いものなのだ。

詰め将棋のトレーニングは、詰む・詰まないの判断が速くなるのはもちろん、駒の利きを正確に把握する力がつくというのが重要で、終盤力だけでなく中盤力の向上も期待できる。
八枚落ちに挑戦するならば、駒の利きを正確に把握する能力は身についていて欲しいという意味で、目安として「1手詰めを1分以内」とした。
十枚落ちは卒業したものの詰め将棋はいまいち、という人は、八枚落ちの学習と並行して1手詰めのトレーニングも行なってもらいたい。